Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
「私帰りますわ。」
と、二人の前に挨拶をした。
「うん、そうか。」
と、僕はそれを止めることができなかった。神近もただ一言、
「そう。」
と言ったきりだった。
そして伊藤はたった一人で、おげんさんに送られて出て行った。
二人きりになると、神近はまた、前よりももっと、愚痴らしくそしてまた言いわけらしく、来た時に言った言葉を繰返した。僕も不機嫌にやはり前に言った言葉をただ繰返した。そして僕は引返して来たおげんさんにすぐ寝床を敷くようにと命じた。
朝秋谷で汗をかいたり風にふかれたりしたせいか、そしてその上に湯にはいったせいか、少し風邪気味で熱を感じたのだ。肺をわずらっていた僕には、感冒はほとんど年じゅうのつきものであり、そしてまた大禁物だった。が、ちょっとでも風邪をひくと、僕はすぐ寝床につくのを習慣としていた。
が、その時には、それよりむしろ、神近と相対して坐っていて、何か話ししなければならないのが、何よりも苦痛だった。彼女がこの室にはいって来て、伊藤の湯上り姿に鋭い一瞥を加えて以来、僕は彼女の顔を見るのもいやになっていたのだ。
彼女は疲れたからと言ってすぐ寝床にはいった。