Japanische Klassiker mit Furigana
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じじょでん
自叙伝
大杉 栄
Lesen Sie 自叙伝 (じじょでん) von 大杉 栄 (おおすぎさかえ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 115.021 Zeichen · 230 Bildschirme
下士官等はまだ長い間座敷で飲んでいた。が、そのうちに、誰か一人が「副官がいないぞ」と怒鳴り出した。
「怪しからん、どこへ逃げた。」
「引きずって来い。」
「来なけれやこれで打ち殺してやる。」
へべれけに酔った四、五人の曹長どもが、長い剣を抜いて立ちあがった。僕はその次の室で、母や女中と一緒に、どうなることかと思ってはらはらして聞いていた。
「奥さん、副官をどこへ隠した?」
曹長どもはその間の襖を開けて母に迫って来た。僕は母にぴったりと寄り添っていた。女中は青くなって慄えていた。
「どこへも隠しやしません。宿もまたどこへも逃げかくれはしません。さあ、私がご案内しますからこちらへいらっしゃい。宿は自分の室でちゃんと寝ているんです。」
母はこう言いながら突っ立って、
「栄、お前も一緒においで。」
と僕の手をとって、さっさと父の室の方へ行った。そしてそこの襖を開けて、
「さあ、みなさん、この通りここに寝ているんです。突くなり斬るなり、どうなりともお勝手になさい。」
と、きめつけた。僕も母のこの元気に勢いを得て、どいつでも真っさきにこの室へはいって来る奴に飛びついてやろうと、小さな握拳をかためて身構えていた。