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Japanische Klassiker mit Furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

軒影が庭に長く伸びてゆくのを、彼は無心に眺めやりながら、何も考えまいとした。

「失礼でございますけれど、あちらへいらして頂きたいとのことでございます。」

みよやの言葉に、北村はへんにびくりとしたように立ち上った。

「たいへん散らかしておりますけれど……。」

導かれたのは台所の方で、新らしい庭下駄が揃えてあった。靴下をずらして下駄をつっかけ、外に出ると、千重子が駆けて来た。

「なあんだ、君か。」

その大声を、し、と千重子は制した。

そこの空地に、竹の縁台が一つある。平素は、菜っ葉とか芋とかその他の洗い物などが、水を切るために並べられるぐらいなものであろう。その縁台に、古い畳表を展べ、座布団を敷き、大きな盆を置き、盆には酒肴が並んでいた。柿の葉の茂みが、深い木影をあたりに落している。

「いかが? お酒には涼しい方がお宜しいでしょう。」

洋装では少し肉付の不足を思わせる彼女のすらりとした姿を、北村は初めて見るもののように眺めた。

「だしぬけに、いつ帰って来たのかね。」

「さっきよ。井上のおばさまがいらしたでしょう。」

「私の知らない人だ。」

「小父さまはそうでも、わたし、今ちょっと、井上のおばさまにお逢いしたくありませんの。