Japanische Klassiker mit Furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
その上、父との応対という、いちばんの苦手が加わった。
母との応待ならば、のらりくらりと、なんとでもごまかせる。けれど、父とはそうはいかない。父の前に出ると、裁判官の前にでも出たように、わたしは自然に、身も心も縮みこませてしまう。わたしたち姉弟三人ともそうなのだ。つまり、親に対して甘えたり我儘をしたりする方面を、すっかり母へ持ってゆき、親に対する畏敬礼節の方面を、すっかり父へ持っていってるのであろうか。一家うち揃っての楽しい談笑の時間が殆んどない家庭の中の、父と母との長年の夫婦生活というものが、この頃わたしには奇妙なものに思われてきた。それかといって、父はいつも無口で厳格なだけで、怒り猛けるようなことはないし、酒に酔えばすぐに寝てしまう。社会に出てはどうだか分らないが、家庭では孤独な人のようにも見えるのだ。
父は、わたしをじっと見つめるでもなく、わたしから眼をそらすでもなく、やり場に困ったような眼差しで、それでも言葉はぴしぴしと、のっぴきさせず問いつめてくるのだった。
「こんどの話、先方ではたいへん乗気だし、こちらでも異存はない。然し、当人のお前があやふやでは困る。