Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じゆうじん

自由人

豊島 与志雄

Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme

Aozora Bunko

」

「分るわよ。」

「じゃあ、それを何と言ったらいい?」

「そうね、挺身は……。」

「語感がわるいよ。僕たちの文学の方では……。」

順一は額に掌をあてた。

「ごらんなさい。良い言葉がないじゃないの。」

「あるさ。自己主張、自己表現……。」

「なんだか、少し違うようだわ。」

「文学が分らない者には、そんなことは分らないさ。」

「だって、おかしいわ。スペードばかり狙ったり、カスばかり拾ってワラヒを狙ったりするのが、自己表現になるの。」

「そんなことを言ってるんじゃないよ。例えば……。」

八重子はトランプの札をきりながら、つまらなそうに促した。

「早くしましょうよ。」

「まてよ。いまお姉さんを教育してるんだから。」

順一は室の中を見廻して、ちょっと憂鬱そうに眉をしかめた。

「この室を眺めてごらん。相当に贅沢な応接室だ。大蔵省の局長まで勤めあげた官吏で、退職後は、一流銀行の取締役をしている人、それにふさわしいだけの応接だ。然し、僕はこの室を眺めていると、なんだか淋しくなる。じかにお父さんのことを考えるからだ。この室のどこに、お父さんと、お父さんという人と、直接に繋がりのあるものがあるだろうか。