Japanische Klassiker mit Furigana
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じゆうじん
自由人
豊島 与志雄
Lesen Sie 自由人 (じゆうじん) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 69.030 Zeichen · 139 Bildschirme
」
八重子が立って行った。
やがて、八重子はにこにこして戻って来た。
「お母さまに、お菓子をねだってきたわ。」
それはよいが、コリント・ゲームの鉄の丸は、久しく使わないので、赤く錆びていた。ぼろ布と油とを取りに、八重子はまた立って行った。そして三人で、鉄の丸を磨いた。
「ずいぶんひどいわ。これで出来るかしら。」
「出来るよ。だが、少し意外だね。鉄の丸がこんなに錆びてる、それだけ僕たちは成長したというわけか。感慨無量だね。」
「まあ、順一さんにも似合わない台詞ね。今晩、順一さんはどうかしてるわ。」
「見損っちゃいかんよ。僕だって日に日に成長してるんだからね。」
電燈が二回ばかり瞬いて、すーっと消えてしまった。暗闇になるかと思われたが、眼が馴れると、ぼんやりした明るみが戸外の大気中にあって、暴風雨の音がひときわ烈しい。
「ランプを持って来ましょうか。」と八重子が言う。
「まあ待てよ。野蛮趣味もたまにはいいよ。」
「なあに、野蛮趣味って。」
「電線はあっても、電燈がつかないことだ。水道の鉄管はあっても、水が出ないことだ。瓦斯管はあっても、瓦斯が出ないことだ。つまり、鳥や獣と同様、太陽といっしょに起きて、太陽といっしょに眠り、天然の水を飲み、煮炊きしない生の物を食うのさ。