Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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じてんしゃにっき

自転車日記

夏目 漱石

Lesen Sie 自転車日記 (じてんしゃにっき) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.488 Zeichen · 17 Bildschirme

Aozora Bunko

意味をもって坂の上から坂の下まで辛うじて乗り終せる男なり、遠乗の二字を承って心安からず思いしが、掛直を云うことが第二の天性とまで進化せる二十世紀の今日、この点にかけては一人前に通用する人物なれば、如才なく下のごとく返答をした「さよう遠乗というほどの事もまだしませんが、坂の上から下の方へ勢よく乗りおろす時なんかすこぶる愉快ですね」

今まで沈黙を守っておった令嬢はこいつ少しは乗きるなと疳違をしたものと見えて「いつか夏目さんといっしょに皆でウィンブルドンへでも行ったらどうでしょう」と父君と母上に向って動議を提出する、父君と母上は一斉に余が顔を見る、余ここにおいてか少々尻こそばゆき状態に陥るのやむをえざるに至れり、さりながら妙齢なる美人より申し込まれたるこの果し状を真平御免蒙ると握りつぶす訳には行かない、いやしくも文明の教育を受けたる紳士が婦人に対する尊敬を失しては生涯の不面目だし、かつやこれでもかこれでもかと余が咽喉を扼しつつある二寸五分のハイカラの手前もある事だから、ことさらに平気と愉快を等分に加味した顔をして「それは面白いでしょうしかし……」