Japanische Klassiker mit Furigana
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おきつやごえもんのいしょ
興津弥五右衛門の遺書
Lesen Sie 興津弥五右衛門の遺書 (おきつやごえもんのいしょ) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.046 Zeichen · 14 Bildschirme
十五年二月廿二日御当家御攻口にて、御幟を一番に入れ候時、銃丸左の股に中り、ようよう引き取り候。その時某四十五歳に候。手創平癒候て後、某は十六年に江戸詰仰つけられ候。
寛永十八年妙解院殿存じ寄らざる御病気にて、御父上に先立、御卒去遊ばされ、当代肥後守殿光尚公の御代と相成り候。同年九月二日には父弥五右衛門景一死去いたし候。次いで正保二年三斎公も御卒去遊ばされ候。これより先き寛永十三年には、同じ香木の本末を分けて珍重なされ候仙台中納言殿さえ、少林城において御薨去なされ候。かの末木の香は「世の中の憂きを身に積む柴舟やたかぬ先よりこがれ行らん」と申す歌の心にて、柴舟と銘し、御珍蔵なされ候由に候。
某つらつら先考御当家に奉仕候てより以来の事を思うに、父兄ことごとく出格の御引立を蒙りしは言うも更なり、某一身に取りては、長崎において相役横田清兵衛を討ち果たし候時、松向寺殿一命を御救助下され、この再造の大恩ある主君御卒去遊ばされ候に、某いかでか存命いたさるべきと決心いたし候。
先年妙解院殿御卒去の砌には、十九人の者ども殉死いたし、また一昨年松向寺殿御卒去の砌にも、簑田平七正元、小野伝兵衛友次、久野与右衛門宗直、宝泉院勝延行者の四人直ちに殉死いたし候。