Japanische Klassiker mit Furigana
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おきつやごえもんのいしょ(しょこう)
興津弥五右衛門の遺書(初稿)
Lesen Sie 興津弥五右衛門の遺書(初稿) (おきつやごえもんのいしょ(しょこう)) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.491 Zeichen · 9 Bildschirme
某申候は、武具と香木との相違は某若輩ながら心得居る、泰勝院殿の御代に、蒲生殿申され候は、細川家には結構なる御道具あまた有之由なれば拝見に罷いずべしとの事なり、さて約束せられし当日に相成り、蒲生殿参られ候に、泰勝院殿は甲冑刀剣弓鎗の類を陳ねて御見せなされ、蒲生殿意外に思されながら、一応御覧あり、さて実は茶器拝見致したく参上したる次第なりと申され、泰勝院殿御笑いなされ、先きには道具と仰せられ候故、武家の表道具を御覧に入れたり、茶器ならばそれも少々持合せ候とて、はじめて御取り出しなされし由、御当家におかせられては、代々武道の御心掛深くおわしまし、かたがた歌道茶事までも堪能に渡らせらるるが、天下に比類なき所ならずや、茶儀は無用の虚礼なりと申さば、国家の大礼、先祖の祭祀も総て虚礼なるべし、我等この度仰を受けたるは茶事に御用に立つべき珍らしき品を求むる外他事なし、これが主命なれば、身命に懸けても果たさでは相成らず、貴殿が香木に大金を出す事不相応なりと思され候は、その道の御心得なき故、一徹に左様思わるるならんと申候。相役聞きも果てず、いかにも某は茶事の心得なし、一徹なる武辺者なり、諸芸に堪能なるお手前の表芸が見たしと申すや否や、つと立ち上がり、旅館の床の間なる刀掛より刀を取り、抜打に切つけ候。