Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
したのすさび
舌のすさび
吉川 英治
Lesen Sie 舌のすさび (したのすさび) von 吉川 英治 (よしかわえいじ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.492 Zeichen · 7 Bildschirme
なぜあれを世間さまでは捨てるのだろうか。浜作や鶴の家などでも、あら煮とか鯛のかぶと煮などというものはよく売れるらしいが、鰹の中落ちを箸でセセリ食うおもしろさと味にはしょせんかなうまい。
どうも貧乏育ちのせいか、総じてわたしなどは、茶懐石でも料亭の物でも、うまいといつ迄もおぼえていて、あとあと、又の邂逅を舌が待ちかねるというほどな物にはめったにお目にかかっていず、かえって貧窮時代に母がくるしさの余りに作ったおかしな安惣菜などが、ふと、この年になっても郷愁されてくるのはどういうわけのものだろうか。
たとえば、大豆を磨りつぶしたものへ刻ミ葱を加えて味噌汁とした“ごじる”と呼ぶものなど、もっとりと重い味だが、なかなか捨てがたい。あれこれ味噌汁の添えに飽いた一ト朝など、ふとよいものである。そういえば、豆腐屋でただみたいに売っていたおからもこの頃は兎の飼料にでもなって行くのか、人の家では食べられてはいないようだ。けれどわたしはこれも時々家内へ註文する。油いためにキザミ葱、でなければ近海の生きた蟹を煮たあとの汁。もちろん栄養価はあるまいが、自分のような弱腸の者にでもこれなら飯にまぶして頬ばれる。