Japanische Klassiker mit Furigana
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まいひめ
舞姫
Lesen Sie 舞姫 (まいひめ) von Mori Ōgai (森 鴎外) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.190 Zeichen · 33 Bildschirme
と叫び、その場にたおれぬ。相沢は母を呼びてともに扶けて床に臥させしに、しばらくして醒めしときは、目は直視したるままにて傍らの人をも見知らず、わが名を呼びていたくののしり、髪をむしり、蒲団を噛みなどし、またにわかに心づきたる様にて物を探りもとめたり。母の取りて与うるものをばことごとく抛げうちしが、机の上なりし襁褓を与えたるとき、探りみて顔に押しあて、涙を流して泣きぬ。
これよりは騒ぐことはなけれど、精神の作用はほとんど全く廃して、その痴なること赤児のごとくなり。医に見せしに、過劇なる心労にて急に起こりし「パラノイア」という病なれば、治癒の見込みなしという。ダルドルフの癲狂院に入れんとせしに、泣き叫びて聴かず、のちにはかの襁褓一つを身につけて、幾度か出しては見、見ては欷歔す。余が病牀をば離れねど、これさえ心ありてにはあらずと見ゆ。ただおりおり思いいだしたるように「薬を、薬を」というのみ。
余が病は全く癒えぬ。エリスが生ける屍を抱きて千行の涙をそそぎしは幾度ぞ。大臣にしたがいて帰東の途に上りしときは、相沢とはかりてエリスが母にかすかなる生計を営むに足るほどの資本を与え、あわれなる狂女の胎内にのこしし子の生まれんおりのことをも頼みおきぬ。