Japanische Klassiker mit Furigana
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えんしょ
艶書
山本 周五郎
Lesen Sie 艶書 (えんしょ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 25.027 Zeichen · 50 Bildschirme
と半兵衛が云った、「それから呼ぶまでは来なくともいいよ」
女中たちは承知して去った。
「このまえおれは、現在の重職組織がなってないと云った」と半兵衛は続けた、「しかし組み直さなければならないのは重職だけじゃない、おもだった奉行や各役所なども改組の必要がある、とくにこんどおれが政治を始める場合に最も重要なのは農業政策で、これには非常な困難が伴うが、なんとしても成功させなければならない」
「それならなおさら、私などに勤まる役じゃないですよ」
「いや勤まるんだ、出さんこそ最も適任者なんだ」半兵衛は掌を返して前に出しながら云った、「出さんは郷土誌の資料を集めるために領内をまわった、七年という年月、在々村々を歩きまわって、その土地土地の伝説や、人情風俗を自分の眼と耳で観察した、おれの頼んだ四項目を加えて、これらの記録は領内事情の正確な一覧表といえるし、出さん自身の経験はもっと直接に郡奉行として役にたつ、そう思わないか出さん」
出三郎はちょっと返辞ができなかった。手に持った盃をみつめ、不決断にややしばらく黙っていた。
――引き受けるか、いや危ない、自信がない、では生涯部屋住みで終わるか、足軽長屋を建て直したあの薄暗い家で、陰気くさい老人になり、そうして兄たちの家族の誰かにみとられて死ぬつもりか、いやそれはいやだ、できること