Japanische Klassiker mit Furigana
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme
「わかったんだな」
お豊は「ええ」と頷き、「ああ、遠い」と呟いた。
「遠いわねえ」
「なにが」
「え、ええ、草津がよ」
と、お豊は嗚咽した。
――平手さんとあたしのあいだは遠い。
お豊は心のなかで呟いた。
――ずいぶん遠いわ、こんなに遠くっては、とても、この気持はわかってもらえないわ、どうしたってわかってもらえやしないわ。
そして、また啜りあげた。
お豊はおとなしくなり、深喜に給仕しながら、自分も飯を喰べた。草津で病気も治すし、躯もきれいになって来る、とお豊は云った。そうしたら平手さんも遊びに来てくれるわね。来てもいいが、河内屋に悪いだろう。悪いことがあるもんですか、お顔を見るだけなんですもの平気よ。そういう云いかたはよせ。あらどうして、お顔を見るって云ってもいけないの。そういう云いかたはいやだ、と深喜は云った。そう、平手さんって、むずかしいのね。いいわ、それじゃあ、もう云わないわ、とお豊は淋しそうに眼をそむけた。
「さっき云ったことを忘れないでくれ」食事のあとで深喜が云った、「医者や、河内屋の云うことをすなおに聞いて、早く丈夫になって帰るんだ」
「ええ、そうするわ」