Japanische Klassiker mit Furigana
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はなもかたなも
花も刀も
山本 周五郎
Lesen Sie 花も刀も (はなもかたなも) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 89.364 Zeichen · 178 Bildschirme
と頷き、幹太郎とはほとんど言葉を交わさずに「では、こっちへ」と案内に立った。
重四郎は暗い二畳の部屋に坐っていた。
廊下に面して障子があり、三方は壁で、行灯部屋といった感じだった。もちろん刀は取上げられているし、髪毛も乱れ、一夜みないうちに驚くほど痩せやつれていた。
又兵衛は引返してゆき、幹太郎は障子を閉めて、重四郎の前に坐った。すると、重四郎はいきなり、
「なにも仰しゃらないで下さい」と云った。おちくぼんで充血した眼が、恍惚ともとれる虚脱の色に掩われ、白く乾いた唇は緊りを失って、歯の見えるほど垂れていた。
「私は自分のしたことを知っています、こうなることも覚悟していました、お願いですから私のことを放っておいて下さい」
「死んでもいいというのか」
「いいと思います」と、重四郎は云った、「先生には、たぶんおわかりにならないでしょう、誰にもわからないだろうと思いますが、死んでも惜しくないだけの経験をしました、逃げるつもりがあれば逃げられたでしょうが、私はもう逃げる気にもなれませんでした、私はよろこんで死にます」
幹太郎は、その言葉をそのままには信じられなかった。