Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなこのちんじゅつ

花子の陳述

豊島 与志雄

Lesen Sie 花子の陳述 (はなこのちんじゅつ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.726 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

もともと、立居振舞いの静かなひとでしたが、それが一層静かになってゆくようでした。

そのようなことが暫く続いておりますうちに、わたくしのふとした粗相から、ますます面倒なことになって参りました。

ある晩、良吉さんが慌てておりていらして、母に頼みました。

「済みませんが、あの物干竿を片付けて下さいませんか。」

見ますと、一本の物干竿が庭から庇へ立てかけてありました。その先端が丁度、二階の室の前に突っ立っていました。夕方、わたくしが洗濯物を取り込む時、うっかりしまい忘れたのでした。二階の室からたぶん目障りになるのだろうと思いましたが、良吉さんの様子ではそうばかりでもなさそうでしたから、母がわけを聞きますと、良吉さんは吐き捨てるように言いました。

「ばかなやつで、全く話にもなりません。」

それから声を低めて、事情を明かしてくれました。それに依りますと、良吉さんが帰って来た時、美津子さんはまだ食事もしないで、暗がりの中に坐っていたそうです。そして室の外を指差しました。淡い月の光りで透し見ると、室の正面に、物干竿の先が突っ立っていました。その物干竿を、美津子さんは、誰かがアンテナを仕掛けてこちらを探偵してるのだと言いました。