Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなこのちんじゅつ

花子の陳述

豊島 与志雄

Lesen Sie 花子の陳述 (はなこのちんじゅつ) von 豊島 与志雄 (とよしまよしお) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.726 Zeichen · 22 Bildschirme

Aozora Bunko

御主人の良吉さんは、出版社に勤めてるひとですが、奥さんの美津子さんも、やはり出版社に勤めていられたことがあったらしく、そういう関係から知り合って、御一緒になられたとか聞いております。お二人とも、三十五歳ばかりの年配でした。

良吉さんが出勤されたあと、美津子さんはいつも、室に閉じこもって、書物を読んだり、物を書いたりしておられました。お風呂に行ったり、ぶらりと散歩に出かけたりなさることも、たまにはありましたが、ほとんどいつもと言ってよいくらい、室にこもっておられました。たいへんな勉強家だと、母は感歎しておりました。

ところが、或る時、母がそれを口に出して申しますと、逆に、美津子さんから妙なことを勧められました。

耶馬渓名産の、巻柿とかいう、珍らしい乾柿を送って参りました。乾柿を幾つか煉り合せて、紡錘形に固め、それを紙にくるみ、更に藁で包みこみ、上から縄でぐるぐる巻いて締めつけたものです。味もよいし珍らしいので、お茶菓子にして、美津子さんもお呼びしました。そしてお茶をのみながら、美津子さんの勉強のことを母が尋ねますと、美津子さんはじっと母の顔を見て言いました。