Japanische Klassiker mit Furigana
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はなよい
花宵
山本 周五郎
Lesen Sie 花宵 (はなよい) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 8.938 Zeichen · 18 Bildschirme
「そうです、英三郎もそう思いました」
「おれたちは……」と清之助は溜息をつくように云った。
「おれたちはこれまでにも、どんなにたくさん母上のおなさけをみのがしているかしれないんだ、それを忘れぬようにしようぞ英三郎、これからは常に母上のお心をみはぐらないようにな」
「兄上、英三郎はりっぱな武士になります!」
「そうだ、母上のお望みはそれひとつだ、掛川藩のため、ひいては御国のお役にたつべきもののふになるんだ、やろうぞ」そう云って弟の肩を叩くと、弟もまた涙にうるんだ眼で力づよく兄を見あげた。
「……清之助はお庭ですか」
広縁のほうで母の呼ぶ声がした。ふたりはいそいで眼を拭きながら振り返った。
「はい此処におります」
「英三郎もいますか」
「わたくしもおります母上」
「なにをしておいでです」
「夜桜を見ておりました」
清之助が大ごえに叫んだ、そしてちらと弟に眼くばせをしながら、母のいるほうへと駆けだした、英三郎もそのあと追って走っていった。……どこかの小謡の声と、澄んだ鼓の音とはまだのどかに聞えていた。