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Japanische Klassiker mit Furigana

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げいじゅつがひつようとするかがく

芸術が必要とする科学

宮本 百合子

Lesen Sie 芸術が必要とする科学 (げいじゅつがひつようとするかがく) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 6.183 Zeichen · 12 Bildschirme

Aozora Bunko

二

こういう一つの偶然な実験――体や神経の疲労がひどい時には、ある色彩が頭でわかっても、その色の感じを感覚的には感じられないという珍らしい経験をもって、私はそれから市ケ谷に移された。

そこで又計らず他の経験をかさねた。

あすこにはラジオがある。コンクリートの広い廊下のはずれの高いところに一つラジオの拡声器が据えつけてあって、朝ラジオ体操のかけ声を鳴り響かす。そして、たまに音楽の中継なども聴かすのであるが、どういうセットをつかっているのであるか、私のいた方のラジオでは第一放送と第二放送とがごっちゃになって聞えた。新響の放送であろうと思われるような交響楽が鳴り出して、諧調ある美しい音に神経が突然快くゆるめられたと思う間もなく、「ああ打ちました! 打ちました!」などと叫ぶアナウンサアの声がわり込み、音楽と野球実景放送とがしばらくあやめも分らずもつれ合ったあげく、拡声器はブブブ、ヒューと、自身の愚劣さを嘲弄するように喚いて、終には一二分何も聞えないようになってしまうのであった。

ああいう沈黙生活の中で音楽は実に大きいうるおいであり、ほとんど一つの生理的必要である。