Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めばえ

芽生

宮本 百合子

Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

白いタオルでスーッとふいて四季の花をつけて、西洋白粉をはたいて、桜色の耳たぼとうるみのある眼を見つめた。女らしいやわらかさとかがやかしさを今見つけた様に、

「だから女がすきだって云うんだ!」

と鏡の中の自分に云った。一寸首をかしげてあまったれる様な様子をして笑って見た。白いよくそろった前歯は、まっかな唇の下に白い条を引いた様に光って出た。

ソーッと頬を両手で押えて見たり、眉をかくして見たり、唇をつまんで見たりして居るうちに、たかぶりかけた感情は益々動いて、重っくるしい様なくすぐったい様な気になって目の中に涙がにじみ出て来た。

「行って来ようや、しようがりゃしない!」

麻の葉の着物の衿をかき合わせて、羽織のひもを結びなおして髪をすいた。こんな事を出がけにはどんな時でも忘れずにするって云うのも女だからなんかと思いながら、上り口から低い赤と白の緒の並んですがった白木の下駄をつっかけて出た。

うすっくらいほそい町を歩きながら、女は懐手をして小石をつまさきでけりながら、今にもうたをうたい出しそうな、男の姿が見えたらすぐとびついて抱えそうなはずんだ気持になって居た。