Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めばえ

芽生

宮本 百合子

Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

「腹の立つ事なんか一つもありゃしない、うれしくってうれしくってしようがないんだから……」

彼の女は斯う云って又歌のつづきを云って居た。

「何がそんなにうれしいんだか話して御らんなさい」

「聞いてどうするの?……私には、貴方よりももっとすきな、そしてもっと好い恋人があるから……」

彼の女は平気で髪一本ゆるがせないで云った。目は小石を見て居た。それでも男の顔の色が一寸変ったのを彼の女は知って居た。化石した様にだまって突立って居た男は、押し出される様に「じょうだんは云いっこなし……」男はどうぞこれより私を驚かせる事は云わないでネと云う様な目をして彼の女を見つめながら云った。

「ほんと、……何故そんなにびっくりするの?」

「ほんと? ほんと? 一体……どんな人なんだろう」

「どんな人でもない……自然……エエ、自然、マア、どんなに私を可愛がって呉れるんだか……」

彼の女はかるくほほ笑んだまんま云った。男のかおには少し安心したらしい色が見えた。それでもまだかたくなっておどろいた様子をして、彼の女の萩のナヨナヨとした若芽で結んで居る髪を見つめた。

「私の居ない間に自然が貴方をとっちゃった……」