Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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めばえ

芽生

宮本 百合子

Lesen Sie 芽生 (めばえ) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N3. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N3 · Mittel · moderne Kanji und Kana · 40.924 Zeichen · 81 Bildschirme

Aozora Bunko

同じ庭に養われて居る鶏までこの可哀そうなたった一人ぼっちの鴨をいじめるという事はなしにいじめ、いつもまっ正面からシゲシゲとかおをのぞき込んだあげくにくるりと後をむいてパッと砂をけあびせる様な事をして居た。

かわいいひよっこのする事さえ気弱なウジウジした男がもにはツンツンと体中にこたえた。

「どうしても、だれか殺して呉れるかひとりでに命のなくなるまではどうしても生きて居なくっちゃあならない」

と云う事は、女房をなくしてから、たださえ陰気なのが一層陰気になった男鴨にはたまらなく苦しい事だった。白い目をして天をにらんでは呪われた様な自分の弱い力を思ってイライラして居た。その次の日もその次の日も男鴨は一日も早く自分の生の終るのをまった。

死――斯ういう言葉がこの上なくたのしいなつかしいものに思われるまで「生」という事にあきて来た。毎日毎日あの白い牙をもった動物の自分の生を絶ちに来て呉れるのをまって茗荷畑に朝から日の落ちて小屋にしまわれるまで座って居る。けれ共目ばかりが光った動物は影さえも見せなかった。

今日も男鴨は茗荷畑に座って居る。何にも来ない青く光る□を見あげては自分がまだ生きて居るという事をなさけなく思って居る。