Japanische Klassiker mit Furigana
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わかきひのジンギスカン
若き日の成吉思汗
林 不忘
Lesen Sie 若き日の成吉思汗 (わかきひのジンギスカン) von 林 不忘 (はやしふぼう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N1. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N1 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 33.827 Zeichen · 68 Bildschirme
あの森を忘れたのかなあ。僕あよく覚えてるがなあ。
合爾合姫 (うっかり釣り込まれて、低声に)黒雲の森――。
成吉思汗 (膝を打って)そうそう! 黒雲の森、黒雲の森! あの森の端れに、小川のあったのを思い出さないかい?
寝台に突っ伏して、姫は無言。
成吉思汗 忘れっぽいんだなあ。あの、そら、僕がよく羊の群れを追って、水を飲ませに行った川さ。岸に水草が一ぱい生えて、春さきなんか、ぞっとするほど冷い水だった――月夜の晩は、あの小川が銀の帯のように光って家の窓からよく見えたことを思い出すよ。懐しいなあ。
合爾合姫は冷い沈黙をつづける。
成吉思汗 (突然笑いこける)ははははは、そうそう、君は手桶を抱えて、よくあの川へ水を汲みに来たものだねえ。そうしたら、いつか、ほら、その桶を川に流してさ――。
合爾合姫 (相手になるまいとつとめながら、つい引き込まれて)桶じゃありませんわ。羊の皮袋でしたわ。
成吉思汗 いや、桶だよ。
合爾合姫 いいえ、羊の皮ぶくろですわ。
成吉思汗 そうだったかしら。なんでもそいつを流れに取られて、君は岸に立ってしくしく泣いていたっけ。あの時、君は十歳ぐらいだったかしら。