Japanische Klassiker mit Furigana
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わかすぎさいばんちょう
若杉裁判長
菊池 寛
Lesen Sie 若杉裁判長 (わかすぎさいばんちょう) von 菊池 寛 (きくちかん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 10.238 Zeichen · 21 Bildschirme
むろん、若杉裁判長が、罪ということについて、普通の裁判長とは、まったく違った考えを懐いていたことも当然なことです。この人は、どちらかといえば、決して、裁判官という柄ではなかったのです。あの薄暗い法廷で厳しい顔をしている法官としては、あまりに繊細な感情を持ち過ぎていたのです。実際当人も、最初から法科を、やろうなどという意志は、毛頭無かったのです。東京の高等学校にいた頃は、文科で、しかも哲学志望でありました。当人の考えでは、将来は教育家になるつもりでいたらしいのです。むろん教育家といっても、人間の精神に強い力を与え得るような、本物の教育家になるつもりでいたのです。が、教育家志望の若杉浩三がどうして法科に転じたかについては、二つの原因があります。一つは、非常に崇拝していた森田という同窓生が、急に文科志望を止めて、法科へ転ずる決心をしたからです。なんでも、森田という人は、一年からずうっと文科の首席を通してきた人ですが、卒業する半年前になると、その人の兄さんという人が、「将来文科では、とても飯が食えない。このさい思い切って法科へ変ったらどうか」と、いってきたそうです。