Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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わかがえりぐすり

若返り薬

海若 藍平

Lesen Sie 若返り薬 (わかがえりぐすり) von 海若 藍平 (かいじゃくらんぺい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 3.023 Zeichen · 6 Bildschirme

Aozora Bunko

私は音なしくしていれば、仕事は益々繁昌するばかりであったのに、思い切って贅沢をしたいばかりに、診てもらいに来る病人の生命の筋を一人に就いて一年分宛切り取って、丁度一万年分集めてこの薬を作ったのです。この薬の作り方は誰も知っているものはありません。世界中にただ私ばかりです。この薬を作るためには丁度一万人の人が一年分宛生命を縮めている筈です。

ああ恐ろしい。人間一人の生命が五十年として、私は二百人分の生命を取っている訳です。それを思うと私は生きている気持はしません。しかし人の命を助ける役目をする薬で雀の命を取るようないたずら坊ちゃんほどに悪い人間ではありません。

良い者は御褒美を受け、悪いものは助けられるのが当り前です。私は悪い事をした罰に今から直ぐに死んでしまいます。あなたもすぐに私の真似をなさい。左様なら、太郎さん」

と云ううちに、紳士は掌に残っていた残りの一粒の丸薬を口に入れました。と思うと、そのままあと形も無く消え失せて、あとには三粒の赤い丸薬が地びたの上にころがっているばかりでした。

太郎さんは夢を見たように驚いて、暫くはボンヤリその三粒の丸薬を見詰めておりましたが、やがて気がつくと、自分もいよいよ死ななくてはならぬのかと思うと、情なくて恐ろしくて、身体がガタガタふるえて来ました。