Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃがゆのき
茶粥の記
矢田 津世子
Lesen Sie 茶粥の記 (ちゃがゆのき) von 矢田 津世子 (やだつせこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 14.568 Zeichen · 30 Bildschirme
全く不思議な話ではあるが、この混み合った電車の皿数は、青紫蘇は眼にしみるようで、小鱸は蓋を取るとサラリと白い湯気が立つという風で、生きのままあとあとと並べられるのである。
「あなたって変ね。ほんとうに召し上りもしないでお料理のことを御存じだなんて……食べなけあ詰まらないのに」
おかしがる清子へ良人は、
「想像してたほうがよっぽど楽しいよ。どんなものでも食べられるしね」
笑いながら言う。それもそうかも知れないと清子は食通として知られている良人に神秘めいたものを感じて、やはり尊敬していた。
その晩、姑と二人っきりのささやかな夕餉をすませると清子は、納い忘れた手鏡を柱のところに立てて姑の髪を結ってやった。明朝の汽車が早いので、性急な年寄りは今から手廻しをよくしておかないと気が気ではないらしい。姑の髪は手間がとれた。結ってやるのが慣わしになっていたけれど、もう髪が薄くなっているうえに若い頃の髷のたたりで真ん中に大きな禿があるので、みのかもじを入れて結いあげるのに一と骨だった。七十三の姑にもまだ洒落気があるのか、恰好よく結いあがったときなど合せ鏡をして喜んだ。