Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃいろっぽいまち
茶色っぽい町
宮本 百合子
Lesen Sie 茶色っぽい町 (ちゃいろっぽいまち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.087 Zeichen · 8 Bildschirme
淋しい牛込駅の傍の坂を下って、俄に明るく、ぞろぞろひどい人波が急ぎも止まりも仕ないで急な坂を登り降りしているのにびっくりした覚えがある。今は活動写真館になっている牛込館がまだ寄席であったらしい。そこに入った。高座の上で支那人が水芸をするのを見物した。小学校の記念日に大神楽がきっと来た時代だ。支那人のする水芸そのものは、黒紋付に袴の股立ちをとった大神楽のやることと大して違いはないのだが、その支那人は、(水色の、踝でしっかり結えた股引に、黒い靴を穿いていた。)派手な三味線に合わせ、いざ芸当にとりかかる時、いかにも支那的音声で、
ハオ!
とか何とか掛声をかけると同時に一二歩進み、ひょいと右か左、どっちかの足を曲げて、パン! と靴裏でもう片方の脚の腓辺を叩く。靴が軟かいし、永年の修練で、
ハオ! パン!
と、それは丸い、其癖ひどく刺戟的な勇ましい音を出したものだ。子供の胸に、一種のセンセイションが湧いた。柔軟な鞣に包まれた肉体が、薄い布を透して肉体を搏つ音。原始的な何ものかが在ったに違いない。(この間来ていたデニショウン舞踊団の男の踊手が、そう云えば、かなりしばしばこの肉体を搏つ、野生な、激情的な音を織込んで利用していた――)そこで、水芸の後に、めずらしくイタリー女のハアプ弾奏を聴いた。