Japanische Klassiker mit Furigana
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ちゃいろっぽいまち
茶色っぽい町
宮本 百合子
Lesen Sie 茶色っぽい町 (ちゃいろっぽいまち) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 4.087 Zeichen · 8 Bildschirme
そんな心持がする。奇妙なことに、私は牛込区という名をきくと、決して神楽坂ばかりでない牛込全体をどうしても茶色と連想する。どうしてだか茶っぽい。他の色が浮ばない。丁度昼間の銀座ときくと、日光に反射する乾いた白灰色の平面しか思い出せないように。その茶っぽい雰囲気は、山伏町の通へ来ると殆ど黒い程になる。――
八月の或る晩のことであった。私は友達と神田からぐるりと九段を抜けてその茶色っぽき神楽坂に出た。そして、段々矢来の方へ来ると、彼処を通ったことのある人は誰でも知っている左側の家具屋、丁度その前のところを歩いている一人の若い女に目がついた。そこいらで人通りが疎になったばかりではない。若い女の服装が夜目に際立って派手であった。薄紫に白で流行の雲形ぼかし模様に染た縮緬の単衣をぞろりと着、紅がちの更紗の帯を大きく背中一杯に結んでいる。長い袂から桃色縮緬の袖が見えた。まわりを房々だした束髪で、真紅な表のフェルト草履を踏んで行くのだが――それだけで充分さらりと浴衣がけの人中では目立つのに、彼女は、まるで妙な歩きつきをしていた。そんなけばけばしいなりをしながら、片手で左わきの膝の上で着物を抓み上げ持ち上った裾と白足袋のくくれの間から一二寸も足を出したまま悠くり歩いて行く。