Japanische Klassiker mit Furigana
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きのこのまいひめ
茸の舞姫
泉 鏡花
Lesen Sie 茸の舞姫 (きのこのまいひめ) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 11.906 Zeichen · 24 Bildschirme
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売るのは果もの類。桃は遅い。小さな梨、粒林檎、栗は生のまま……うでたのは、甘藷とともに店が違う。……奥州辺とは事かわって、加越のあの辺に朱実はほとんどない。ここに林のごとく売るものは、黒く紫な山葡萄、黄と青の山茱萸を、蔓のまま、枝のまま、その甘渋くて、且つ酸き事、狸が咽せて、兎が酔いそうな珍味である。
このおなじ店が、筵三枚、三軒ぶり。笠被た女が二人並んで、片端に頬被りした馬士のような親仁が一人。で、一方の端の所に、件の杢若が、縄に蜘蛛の巣を懸けて罷出た。
「これ、何さあ。」
「美しい衣服じゃが買わんかね。」と鼻をひこつかす。
幾歳になる……杢の年紀が分らない。小児の時から大人のようで、大人になっても小児に斉しい。彼は、元来、この町に、立派な玄関を磨いた医師のうちの、書生兼小使、と云うが、それほどの用には立つまい、ただ大食いの食客。
世間体にも、容体にも、痩せても袴とある処を、毎々薄汚れた縞の前垂を〆めていたのは食溢しが激しいからで――この頃は人も死に、邸も他のものになった。その医師というのは、町内の小児の記憶に、もう可なりの年輩だったが、色の白い、指の細く美しい人で、ひどく権高な、その癖婦のように、口を利くのが優しかった。