Japanische Klassiker mit Furigana
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くさまくら
草枕
Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme
と際どいところでようやく立て直す。
女は黙っている。
「どうも済みません。御礼に何を上げましょう」と出来るだけ先へ出て置く。いくら出ても何の利目もなかった。女は何喰わぬ顔で大徹和尚の額を眺めている。やがて、
「竹影払階塵不動」
と口のうちで静かに読み了って、また余の方へ向き直ったが、急に思い出したように、
「何ですって」
と、わざと大きな声で聞いた。その手は喰わない。
「その坊主にさっき逢いましたよ」と地震に揺れた池の水のように円満な動き方をして見せる。
「観海寺の和尚ですか。肥ってるでしょう」
「西洋画で唐紙をかいてくれって、云いましたよ。禅坊さんなんてものは随分訳のわからない事を云いますね」
「それだから、あんなに肥れるんでしょう」
「それから、もう一人若い人に逢いましたよ。……」
「久一でしょう」
「ええ久一君です」
「よく御存じです事」
「なに久一君だけ知ってるんです。そのほかには何にも知りゃしません。口を聞くのが嫌な人ですね」
「なに、遠慮しているんです。まだ小供ですから……」
「小供って、あなたと同じくらいじゃありませんか」
「ホホホホそうですか。あれは私しの従弟ですが、今度戦地へ行くので、暇乞に来たのです」