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Japanische Klassiker mit Furigana

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くさまくら

草枕

夏目 漱石

Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme

Aozora Bunko

南側には焼野とも云うべき地勢が幅半丁ほど広がって、末は崩れた崖となる。崖の下は今過ぎた蜜柑山で、村を跨いで向を見れば、眼に入るものは言わずも知れた青海である。

路は幾筋もあるが、合うては別れ、別れては合うから、どれが本筋とも認められぬ。どれも路である代りに、どれも路でない。草のなかに、黒赤い地が、見えたり隠れたりして、どの筋につながるか見分のつかぬところに変化があって面白い。

どこへ腰を据えたものかと、草のなかを遠近と徘徊する。椽から見たときは画になると思った景色も、いざとなると存外纏まらない。色もしだいに変ってくる。草原をのそつくうちに、いつしか描く気がなくなった。描かぬとすれば、地位は構わん、どこへでも坐った所がわが住居である。染み込んだ春の日が、深く草の根に籠って、どっかと尻を卸すと、眼に入らぬ陽炎を踏み潰したような心持ちがする。

海は足の下に光る。遮ぎる雲の一片さえ持たぬ春の日影は、普ねく水の上を照らして、いつの間にかほとぼりは波の底まで浸み渡ったと思わるるほど暖かに見える。色は一刷毛の紺青を平らに流したる所々に、しろかねの細鱗を畳んで濃やかに動いている。