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Japanische Klassiker mit Furigana

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くさまくら

草枕

夏目 漱石

Lesen Sie 草枕 (くさまくら) von Natsume Sōseki (夏目 漱石) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 84.485 Zeichen · 170 Bildschirme

Aozora Bunko

そとから覗いたときは、胡坐をかいて、長煙管で、おもちゃの日英同盟国旗の上へ、しきりに煙草を吹きつけて、さも退屈気に見えたが、這入って、わが首の所置を托する段になって驚ろいた。髭を剃る間は首の所有権は全く親方の手にあるのか、はた幾分かは余の上にも存するのか、一人で疑がい出したくらい、容赦なく取り扱われる。余の首が肩の上に釘付けにされているにしてもこれでは永く持たない。

彼は髪剃を揮うに当って、毫も文明の法則を解しておらん。頬にあたる時はがりりと音がした。揉み上の所ではぞきりと動脈が鳴った。顋のあたりに利刃がひらめく時分にはごりごり、ごりごりと霜柱を踏みつけるような怪しい声が出た。しかも本人は日本一の手腕を有する親方をもって自任している。

最後に彼は酔っ払っている。旦那えと云うたんびに妙な臭いがする。時々は異な瓦斯を余が鼻柱へ吹き掛ける。これではいつ何時、髪剃がどう間違って、どこへ飛んで行くか解らない。使う当人にさえ判然たる計画がない以上は、顔を貸した余に推察のできようはずがない。得心ずくで任せた顔だから、少しの怪我なら苦情は云わないつもりだが、急に気が変って咽喉笛でも掻き切られては事だ。