Japanische Klassiker mit Furigana
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くさめいきゅう
草迷宮
泉 鏡花
Lesen Sie 草迷宮 (くさめいきゅう) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 71.733 Zeichen · 142 Bildschirme
霞に紛れ、靄に交って、ほのぼのと白く、いつも水気の立つ処から、言い習わしたものらしい。
あの、薄煙、あの、靄の、一際夕暮を染めたかなたこなたは、遠方の松の梢も、近間なる柳の根も、いずれもこの水の淀んだ処で。畑一つ前途を仕切って、縦に幅広く水気が立って、小高い礎を朦朧と上に浮かしたのは、森の下闇で、靄が余所よりも判然と濃くかかったせいで、鶴谷が別宅のその黒門の一構。
三人は、彼処をさして辿るのである。
ここに渠等が伝う岸は、一間ばかりの川幅であるが、鶴谷の本宅の辺では、およそ三間に拡がって、川裾は早やその辺からびしょびしょと草に隠れる。
ここへは、流をさかのぼって来るので、間には橋一つ渡らねばならぬ。
橋は明神の前へ、三崎街道に一つ、村の中に一つ。今しがた渠等が渡って、ここから見えるその村の橋も、鶴谷の手で欄干はついているが、細流の水静かなれば、偏に風情を添えたよう。青い山から靄の麓へ架け渡したようにも見え、低い堤防の、茅屋から茅屋の軒へ、階子を横えたようにも見え、とある大家の、物好に、長く渡した廻廊かとも視められる。
灯もやや、ちらちらと青田に透く。