Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
きくにんぎょう
菊人形
宮本 百合子
Lesen Sie 菊人形 (きくにんぎょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.991 Zeichen · 16 Bildschirme
場内にみなぎる菊の花のきつい匂いになじみにくく、活人形の顔や手足のかちかちした肌色と着せられている菊の花びらのやわらかく水っぽい感じの対照も妙だった。母方の祖母が浅草の花屋敷へつれて行ってみせてくれたあやつり人形の骨よせと似た気味わるさが菊人形のどこかにあるのだった。
戦争ものでない菊人形と云えば、あのどっさりの菊人形の見世ものの中で何があったろう。常盤御前があった。小督があった。袈裟御前もあった。一九〇五年に、団子坂の菊人形はそういうものばかりを見せていた。小さい女の子は気味わるそうに、舞台からすこし遠のいて、しかし眼はまばたきをするのを忘れて、熊谷次郎が馬にのって、奈落からせり上って来る光景を見まもった。せり上って来る熊谷次郎の髪も菊の花でできた鐙も馬もいちように小刻みに震動しながら、陰気な軋みにつれて舞台に姿を現して来るのだった。閑静な林町の杉林のある通りへ菊人形の楽隊の音は、幾日もつづけて、実際あるよりも面白いことがありそうにきこえて来た。