Japanische Klassiker mit Furigana
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きくにんぎょう
菊人形
宮本 百合子
Lesen Sie 菊人形 (きくにんぎょう) von 宮本 百合子 (みやもとゆりこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 7.991 Zeichen · 16 Bildschirme
ときには、紙袋をもったとき、手にあったかさのつたわって来るほど焼きたてだった。紙袋があったかいとき、子供はつれの大人を見て、笑った。
それよりも何よりも、菊見せんべいを買いにゆくときには三人の子供がついてゆきたがる別の理由があった。「菊見せんべい」の店先に立つと、店の板じきの奥に向いあって坐ってせんべいをやいている職人たちの動作がすっかり見えた。火気ぬきのブリキの小屋根の下っている下に、石の蒲焼用のこんろを大きくしたようなものにいつも火がかっかとおこっていた。それをさしはさんで両側に三人ずつ若い男があぐらをかいて坐っていて、一人が数本ずつうけもっている鉄のせんべい焼道具を、絶えず火の上でひっくるかえしているのだった。せんべい焼の黒い鉄の道具は柄が長くて、その長い柄をつかんで、左手、右手で敏捷にひっくりかえしつづけるのは、力がいる仕事らしかった。火気からはなれることないその仕事で、早くから白いちぢみのシャツ一枚に、魚屋のはいていたような白い短い股引をきる職人たちは、鉢巻なんかして右、左、右、左、と「せんべい焼」道具をひっくりかえしてゆくとき、あぐらをかいて坐っている上体をひどくゆすぶった。