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Japanische Klassiker mit Furigana

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きくづきよ

菊月夜

山本 周五郎

Lesen Sie 菊月夜 (きくづきよ) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 16.129 Zeichen · 32 Bildschirme

Aozora Bunko

佐垣という姓が、ぐさと彼の胸を刺した。しかしその痛みを押し隠して、

「よくわかりました。拙者が大目附を拝命したのも、じつは高力どの処分のためなのです。いろいろ聞いて頂くべきこともありますが、精しいことはいずれ申上げましょう、今宵はこれでおわかれします、間もなくここからお出し申しますから」

「わたくしのことならお捨ておきくださいまし、それより一日も早く高力どのを……」

深くうなだれたままそこまで云うと、小房はすばやく牢の片隅へ身をひそめてしまった。……早く去ってください。この醜い姿を見ないでください、そういう気持がいたましいほどよく感じられる。

「……小房どの、心を堅固に、もうしばらく辛抱していてください、わかりましたか」

信三郎は声をひそめてそう呼びかけ、手燭を取ってしずかにそこを去った。

その翌日彼は小姓組の者を三人、大目附役所へ呼びだして、半刻ほど訊問した。彼らは城中で権太夫を討ち果した者たちであるが、高力系の勢力の強大さを信じているとみえ、三人ともむしろ昂然と事実を述べた、――とつぜん老職に斬りかかったので、発狂にまちがいなしとみたから討ち止めたのである、彼らはそう云った。