Japanische Klassiker mit Furigana
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はなばなしきしゅんかん
華々しき瞬間
久坂 葉子
Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme
「計画していたこと?」
「いやね。まるで、私が誘惑したみたい。唯ね、何かの働きがあって、斯うなったのよ」
「おかしな哲学だ。ロジックがないよ」
「もののはずみこそ、およそ非論理的よ」
二人は笑った。そして強く抱擁しあった。南原杉子は、強く押しつけられている仁科六郎の唇の感触を、首筋に感じながら、蓬莱和子の存在が、仁科六郎と自分を接近させたことをあらためて考えなおした。蓬莱和子あっての仁科六郎なのだ。
「カレワラのマダムとはあるのでしょう」
「何故」
「だってお互に好きなのでしょう」
彼女は洋服のスナップをとめながら、仁科六郎にきいてみた。返事はなかった。きいていない風をよそおっているのだと、南原杉子は直感した。
駅でわかれる時、ふと何か云いたげな素振りをしたが口つぐみ、さっさとふりむきもせずに立去った仁科六郎の後頭部のあたりに、何かつめたさを発見し非常にひきつけられた南原杉子は、電車に乗ってから、瞬間、それがかえってさみしい思いにかわった。そしてあらためて、今日の出来事を思い浮べてみた。
昨日の今日である。昨日、カレワラへゆき蓬莱女史に会い、その帰りに快感を得て、今日、仁科六郎に今までとちがった感情で会ったのだ。