Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなばなしきしゅんかん

華々しき瞬間

久坂 葉子

Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme

Aozora Bunko

そのことに気付いたのだ。

「あなたは恋愛結婚なさったの」

「いや、見合い、一回の」

「何年になるの」

「四年」

「お子さんあるの」

「まだ。ほしいですよ」

ふと、南原杉子は笑いを洩した。仁科六郎の視線に気付いて、

「いえね、あなたの恋愛はどんなのかと想像したの、可能性の限界を究めた上での恋でしょう。一プラス一は二になるのでしょうね」

「みぬきましたね。確かに一プラス一は二にしなきゃすまされない男です。すべてにおいて」

「詩人じゃないわね。やっぱり放送屋ね」

「あなたはどうです」

「私。自分の行動に計算なんかしないわ。一プラス一がたとい三になっても二に足らなくてもいいわ。割切れないものは確かにあるのですから」

「自分のことで割切れないものがあって、よく、生きてられますね」

「あら、割切れなさがあるから生きているのですわ」

「わからん。わからん」

南原杉子は、この男と恋愛してはならないように感じた。その時、

「でも僕はあなたが好きになりました。僕は全く知らない世界に住む人のように思えるからでしょうか」

二人は酒場を出た。

「強いんですね」

「酔えないことは悲しいですわ。少し位、いい気持なんですけど、私、時々、自分をすっかり忘れたくなるんです。