Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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はなばなしきしゅんかん

華々しき瞬間

久坂 葉子

Lesen Sie 華々しき瞬間 (はなばなしきしゅんかん) von 久坂 葉子 (くさかようこ) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 45.114 Zeichen · 92 Bildschirme

Aozora Bunko

阿難は、南原杉子と異質である。恋をする女である。嫉妬もする。だからこそ、仁科六郎に会う迄、心に不安があったのだ。向いあった今、それはすっかり消えている。

「阿難は幸せだと思うわ」

阿難はにっこり笑う。仁科六郎も笑ってうなずいた。と、テーブルの下に置いてあった楽譜がふと床下に落ちて、仁科六郎のあしもとにころがった。

「楽譜?」

「ええ」

「誰の」

「阿難のよ。阿難、ピアノ弾くのよ」

「何故、今までかくしていたの」

「云う機会がなかったもの、阿難が弾くと云う時は、ピアノの傍でひきはじめる時よ」

「すごい自信だね」

「ええ、但し、近代もの以外は人の前でひけないのよ」

「きかせてほしい」

「即物的じゃないわよ」

「何でもいいききたい」

「何でもいいとはひどいわ。私、自分のひき方を決めてあるわ。いろいろ変えたけど。でも、ラヴェール、ドビュッシーあたりがひけると思うだけよ」

「誰に習った?」

「あなたの知ってる人、大方に師事したけどみんないやでよしたの。後は、レコード勉強と、本勉強よ」

「どうしてピアニストにならなかった?」

「あら、これからなるかも知れなくてよ」

阿難が喋るのだ。恋をする女は恋人を前たして喜びにみちている。