Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちばいき

落ち梅記

山本 周五郎

Lesen Sie 落ち梅記 (おちばいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.748 Zeichen · 61 Bildschirme

Aozora Bunko

「はい、よく考えてみました」

「大丈夫やってゆけると思いますか」

「わたくしひとつのことを信じていますの」由利江はつつましく頷いた、「――公郷さまがわたくしを求めていらっしゃる、それが真実なら、そしてわたくしが心からそれをお受けしてまいれば、しぜんとそういう愛がうまれて来て呉れる……」

金之助はふと眼をつむった。なんと単純に割り切ったことだろう。それは世間を知らず、人間の心の表裏を知らないための、むしろ感傷に近い考え方ではないだろうか。――しかし彼はすぐ心で頷いた。それでいいのだ、ほかの者ではない由利江である、どんなところへも明るく温かい雰囲気を持ってゆき、単に会って話しているだけで、人を幸福な気持にする由利江なのだ。その稀な性格だけでも半三郎とのあいだはうまくゆくに違いない。そしてそれには、最も由利江が適しているかもしれない。金之助はこう考え、静かに眼をあげて云った。

「よくわかりました、それで、お頼みというのはどんなことですか」

「これまでどおり、あなただけは公郷さまの支えになってあげて頂きたいんですの、あの方が心から信頼していらっしゃるのはあなたお一人だと伺いました、――わたくしできるだけのことは尽すつもりでございますから、どうぞあなたもお変りなく力をかしてあげて下さいまし」