Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちばいき

落ち梅記

山本 周五郎

Lesen Sie 落ち梅記 (おちばいき) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 30.748 Zeichen · 61 Bildschirme

Aozora Bunko

――かれらは一刻ちかくも病室にいた、密談であろう殆んど声は聞えず、ときおり人の起ち居する物音が、ぶきみな緊張感を伝えるばかりだった。対談はうまくゆかなかったらしい、かれらは別室に去って宿の者に食事を命じ、その日は泊って、翌日もういちど病室を訪ねた後、ふきげんなようすで医者を呼び、「できるだけ早く城下へお伴れするように」なかば命令的にこう云って帰り去った。

それからなお五日ほどして、父を吊台に乗せ、医者が付き添って、金之助たちは宿を出立した。城下まで四日半かかったが、病人はさして変りがなく、寧ろ幾らか調子が好くなってさえいた。――屋敷へはいっておちつくひまもなく、松崎と平川のほかに、小田切弥三郎、久保源右衛門などの重職が来ては、しばしば病人と人払いの密談をしていった。

――これは普通のことではない、なにか重大な問題が起こっているのだ。

金之助もようやくそう気づき始めた。すると或る夜のこと、彼が一人で伽をしていると、父がまた夜具の上へ指でしきりに字を書いてみせた。なかなかわからなかったが、二度三度するうちに、「ぶこのにかいのからひつ」ということが判読できた。