Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

私が上框に腰を下ろして口笛を鳴らすと、犬は私の足許に寄ってきて、いかにも満足そうに「ワンワン。」と二声吠えた。その様子は、「私達はもう他人じゃありませんね。」と云っているように見えた。そのときになって私は、犬を飼うには、私の一存だけではすまないことに気がついた。母屋の年寄の思惑が気になったのである。

私は犬をつれて、お婆さんのいる座敷の縁さきへ行った。お婆さんは長火鉢のわきに坐って小さなお膳に向い、独りで花骨牌を並べていたが、こちらに気づくと、

「おや、どこの犬ですか。」

「迷い犬らしい。」私は弁解するように云った。「公園から僕についてきたんです。」

お婆さんは立って縁さきに来た。

「捨犬でしょう。」お婆さんは一寸調べるように見ていたが、「牝ですね。」

そう云われて、私は自分の迂闊さにはじめて気がついた。私は自分で飼う気でいながら、その犬が牡であるか、牝であるかをまず確めることさえ忘れていたのである。私は軽はずみの例に洩れず、少しくとりのぼせていたのである。よく見ると、犬の頸には最近まで首輪をはめていた形跡がある。またその胸部に見える乳房は最前から眼に入っていたのだが、私はついうっかりしていたのである。