Japanische Klassiker mit Furigana
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おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
」と呟いた。私は咄嗟に廻れ右をして、間髪を入れず、親爺の頬っぺたを殴りつけた。親爺は眼をぱちくりさせ、「あ、ぶった。ぶった。」と頓狂な悲鳴をあげて、私の胸倉に取りついた。仕掛の簡単なゴム人形でもこづいたようで、実にあっけなかった。奥からおかみさんが飛んでくる。近所の人が顔を出す。通行人が立ち止る。忽ち人だかりがした。私は自分の行為を説明した。私は生来喧嘩は好きではないし、自分から喧嘩を売ることは殆んどない。親爺こそ私を侮辱したのである。私には自分を押える余裕がなかったのだ。止むを得ないことだと思っている。私はこうして腕まくりをして威勢のいい恰好はしているが、これは家業柄であって、大根は平和愛好者である。決して喧嘩の常習犯ではないということを私は極力主張した。すると親爺は俺はそんなことを云った覚えはないと真顔で否定した。おかみさんも「この人はとてもがらが悪いんですよ。新聞を取らないからって難癖をつけに来たんです。」と亭主の肩を持った。ひどい舞文曲筆である。たちの悪い三文小説家そこのけではないか。私は呆れてものが云えなかった。そしてたったいま自分の云ったことを否定するような人間の顔を殴りつけたことを後悔した。