Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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おちぼひろい

落穂拾い・犬の生活

小山 清

Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme

Aozora Bunko

僕にはいつの頃からか、活動館の陳列の写真を見るとき、憑かれたように見入ってしまう癖がついてしまいました。放心していて掏摸に袂を切られたこともあります。また本屋の店頭で立ち読みをしていた時、知った人に肩を叩かれたことがあります。その人は云いました。「そんなに睨みつけていたら、本に孔があいてしまうぜ。」活動館の前や本屋の店先に突立っている時の僕の姿は、人が見たら、随分みすぼらしく、へんなのかも知れませんね。

巡査が去ってから僕はまた堤にしゃがんで、水や蘆を眺めながらぼんやりしていましたが、だんだん気持が滅入ってきました。そして憤ろしさが込み上げてきました。いまのさき巡査に対してはどんな感情も抱かず、素直に応えていたのですが、そのことがまた堪えられない気持でした。自分はふだん理不尽に辱しめられることが多い……僕はこの時もまたそういう、そしてそれはもう巡査を対象としたものではない感情にとらわれました。そして果は、自分は駄目だ、そういう己に返る無力感をまたも堪えねばなりませんでした。僕は参った気持で帰途につきました。かりそめの不審訊問が僕に毎度の憂鬱を呼び起したのです。