Japanische Klassiker mit Furigana
ja-reading.com
Lesen Sie japanische Klassiker online mit Furigana. Filtern Sie nach JLPT-Niveau, tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung und übersetzen Sie einen Satz.
おちぼひろい
落穂拾い・犬の生活
小山 清
Lesen Sie 落穂拾い・犬の生活 (おちぼひろい) von 小山 清 (こやまきよし) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 239.741 Zeichen · 486 Bildschirme
同時に私の心にはじめてはげしい憤りがこみあげてきた。どこやらの諺にも云うではないか。「女房と城と犬とは他人に貸すな。」と。私はあいつが私に向けて投げつけた言葉を、そのまま熨斗をつけて返上してやろうかと思った。けれども私にはそれが出来なかった。ひとに向ってそんな言葉を云うほどならば、しっぽを巻いて退却した方がいい。私は前にすすめず後にもひけない状態で、あいつの前に立っていた。私は自分が全身すきだらけであることを感じた。いま若しあいつが飛びかかってくるならば、私はのど笛を噛みきられることだろう。
私は眼がさめた。私は全身にびっしょり寝汗をかいていた。危いところだったと私は思わず心の中でつぶやいた。夢の中で白犬になった自分の姿は、眼がさめてからも、私の眼にありありと残っていた。これがいわば自分を客観的に見たということになるのではなかろうかと私は思った。客観的に見た「私」なるものは、どうしてなかなか可愛げのある代物であった。主観的反省では、私はいつも墨汁でもすするような自己嫌悪を味わうのであったが。私には夕方のことも夢のように思われたが、それは夢でない証拠には、私の掌には繃帯が巻かれてあった。