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Japanische Klassiker mit Furigana

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かつしかすなご

葛飾砂子

泉 鏡花

Lesen Sie 葛飾砂子 (かつしかすなご) von 泉 鏡花 (いずみきょうか) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 18.677 Zeichen · 37 Bildschirme

Aozora Bunko

「こっちの橋は。」

間近く虹のごとく懸っているのを縞の羽織が聞くと、船頭の答えるまでもなく紋着が、

「汐見橋。」

「寂しいな。」

この処の角にして船が弓なりに曲った。寝息も聞えぬ小家あまた、水に臨んだ岸にひょろひょろとした細くって低い柳があたかも墓へ手向けたもののように果敢なく植わっている。土手は一面の蘆で、折しも風立って来たから颯と靡き、颯と靡き、颯と靡く反対の方へ漕いで漕いで進んだが、白珊瑚の枝に似た貝殻だらけの海苔粗朶が堆く棄ててあるのに、根を隠して、薄ら蒼い一基の石碑が、手の届きそうな処に人の背よりも高い。

六

「おお、気味悪い。」と舷を左へ坐りかわった縞の羽織は大いに悄気る。

「とっさん、何だろう。」

「これかね、寛政子年の津浪に死骸の固っていた処だ。」

正面に、

葛飾郡永代築地

と鐫りつけ、おもてから背後へ草書をまわして、

此処寛政三年波あれの時、家流れ人死するもの少からず、此の後高波の変はかりがたく、溺死の難なしというべからず、是に寄りて西入船町を限り、東吉祥寺前に至るまで凡そ長さ二百八十間余の所、家居取払い空地となし置くものなり。