Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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あし

葦

山本 周五郎

Lesen Sie 葦 (あし) von 山本 周五郎 (やまもとしゅうごろう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.406 Zeichen · 25 Bildschirme

Aozora Bunko

彼は明くる夜ひとりでその家へいった。それから繁しげ通いだした、女は色いろな面を見せた。茶を点てたり、花を活けたり、泥のように酔っているとも思えない狂態を示したりした、だがからだはゆるさなかった。ひきつけるだけひきつけておいて、とつぜん笑いだしたり、石のように冷酷になったりした。古風なてくだであったが、女はあとで告白した――本気になってはいけないと思って、もがけるだけもがいてみたのよ。

契ってからさらに深くなった。男も女も不義理が嵩んだ、定りきったなりゆきである。彼は二百五十石の納戸役だったが、御用の金に手をつけたのが知れて、おもて沙汰になろうとした。そのとき千神市蔵が金を出してもみ消してくれたが、しかし役目は解かれた。……役の手当が無くなり、融通が止った。扶持米をかたの借金の質ぐさもながくは続かない、物を売りだした。女も無理を重ね、二人ともゆき詰った。どん詰りになって、女は彼の家へ逃げ込んだ。女の家から人が来た。彼は酔って応対した、彼らは二人から絞れるだけ絞ったはずだ、自分はしほを正妻として迎えたのである。菅野又五郎の妻に対して指一本でも触れたら、……その挨拶はもう市井無頼の徒と差別がなかった、それから小粒を一つ投げだしてこう云った。