Japanische Klassiker mit Furigana
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ヒューネラル・マーチ
葬送行進曲
野村 胡堂
Lesen Sie 葬送行進曲 (ヒューネラル・マーチ) von 野村 胡堂 (のむらこどう) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 12.494 Zeichen · 25 Bildschirme
見ると、室の隅に置いた安楽椅子に凭れて安らかに眠って居るのは、讃之助の愛を一身に集めて居る美しい貴美子夫人の盛装した姿です。
「何んだ貴美子ではないか、まさかお前は?」
「驚いたでしょう、あの女ですよ、あれが隆を殺した相手なのです」
「そんな馬鹿な事があるものか、これ貴美子」
奮然とした讃之助、近づいて貴美子の額に触ると、氷のよう。
「あ、死んで居るッ」
「ホ、ホ、ホホホホ」
物凄いロボットの笑いが、夕闇迫る書斎の空気に突っ走ります。
「お前だろう殺したのは」
カッとして飛び付こうとすると、早くも身をかわして、扉の外へ。
「お察しの通り――仕合せな事にその女も浸出性体質で、ほんの少しばかりの手数で死んでしまいましたよ」
「悪魔、悪魔、待て」
「死亡診断書はその女の兄の酒巻ドクトルが書いてくれますよ、――心臓麻痺と――」
「悪魔」
中では讃之助、扉に飛び付いて開けようとしましたが、外から鍵を廻したので、何うすることも出来ません。
「左様なら、私は貴方を愛し続けて死ぬでしょう。悪く思わないで下さい、本当の悪魔は、其処に死んで居る美しい若い女の方なんです、左様なら」
涙にかすれた声が、次第に階段の方へ消えて行きました。