Japanische Klassiker mit Furigana
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ふとん
蒲団
田山 花袋
Lesen Sie 蒲団 (ふとん) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.870 Zeichen · 90 Bildschirme
熱い主観の情と冷めたい客観の批判とが絡り合せた糸のように固く結び着けられて、一種異様の心の状態を呈した。
悲しい、実に痛切に悲しい。この悲哀は華やかな青春の悲哀でもなく、単に男女の恋の上の悲哀でもなく、人生の最奥に秘んでいるある大きな悲哀だ。行く水の流、咲く花の凋落、この自然の底に蟠れる抵抗すべからざる力に触れては、人間ほど儚い情ないものはない。
汪然として涙は時雄の鬚面を伝った。
ふとある事が胸に上った。時雄は立上って歩き出した。もう全く夜になった。境内の処々に立てられた硝子燈は光を放って、その表面の常夜燈という三字がはっきり見える。この常夜燈という三字、これを見てかれは胸を衝いた。この三字をかれは曽て深い懊悩を以て見たことは無いだろうか。今の細君が大きい桃割に結って、このすぐ下の家に娘で居た時、渠はその微かな琴の音の髣髴をだに得たいと思ってよくこの八幡の高台に登った。かの女を得なければ寧そ南洋の植民地に漂泊しようというほどの熱烈な心を抱いて、華表、長い石階、社殿、俳句の懸行燈、この常夜燈の三字にはよく見入って物を思ったものだ。その下には依然たる家屋、電車の轟こそおりおり寂寞を破って通るが、その妻の実家の窓には昔と同じように、明かに燈の光が輝いていた。