Japanisch lesen

Japanische Klassiker mit Furigana

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ふとん

蒲団

田山 花袋

Lesen Sie 蒲団 (ふとん) von 田山 花袋 (たやまかたい) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.

N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 44.870 Zeichen · 90 Bildschirme

Aozora Bunko

「昨日の話さ、まだ居るのかね」

「今夜の六時の急行で帰ります」

「それじゃ送って行かなくってはいけないじゃないか」

「いいえ、もう好いんですの」

これで話は途絶えて、二人は黙って歩いた。

矢来町の時雄の宅、今まで物置にしておいた二階の三畳と六畳、これを綺麗に掃除して、芳子の住居とした。久しく物置――子供の遊び場にしておいたので、塵埃が山のように積っていたが、箒をかけ雑巾をかけ、雨のしみの附いた破れた障子を貼り更えると、こうも変るものかと思われるほど明るくなって、裏の酒井の墓塋の大樹の繁茂が心地よき空翠をその一室に漲らした。隣家の葡萄棚、打捨てて手を入れようともせぬ庭の雑草の中に美人草の美しく交って咲いているのも今更に目につく。時雄はさる画家の描いた朝顔の幅を選んで床に懸け、懸花瓶には後れ咲の薔薇の花をした。午頃に荷物が着いて、大きな支那鞄、柳行李、信玄袋、本箱、机、夜具、これを二階に運ぶのには中々骨が折れる。時雄はこの手伝いに一日社を休むべく余儀なくされたのである。

机を南の窓の下、本箱をその左に、上に鏡やら紅皿やら罎やらを順序よく並べた。押入の一方には支那鞄、柳行李、更紗の蒲団夜具の一組を他の一方に入れようとした時、女の移香が鼻を撲ったので、時雄は変な気になった。