Japanische Klassiker mit Furigana
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がもううじさと
蒲生氏郷
幸田 露伴
Lesen Sie 蒲生氏郷 (がもううじさと) von 幸田 露伴 (こうだろはん) auf Japanisch mit Furigana. JLPT N2. Tippen Sie auf ein Wort für die Bedeutung.
N2 · Fortgeschritten · moderne Kanji und Kana · 65.772 Zeichen · 128 Bildschirme
我が鎗も太刀も草叢に埋もるるばかり、それが無念さの不覚の涙じゃ哩、今日より後は奥羽の押え、贈太政大臣信長の婿たる此の忠三郎がよし無き田舎武士の我武者共をも、事と品によりては相手にせねばならぬ、おもしろからぬ運命に立至ったが忌々しい、と胸中の欝をしめやかに洩らした。無論家勝もこれを聞いて解った。成程我が主人は信長公の婿だ、今遽に関白に楯突こうようはあるまいが、云わば秀吉は家来筋だ、秀吉に何事か有らば吾が主人が手を天下に掛けようとしたとて不思議は無い、男たる者の当り前だ、と悟るに付けて斯様な草深い田舎に身柄と云い器量と云い天晴立派な主人が埋められかかったのを思うと、凄然惻然として家勝も悲壮の感に打たれない訳には行かなかったろう。主人の感慨、家臣の感慨、粛として秋の気は坐前坐後に満ちたが、月は何知らず冷やかに照って居た。
氏郷が会津四十二万石を受けて悦ばずに落涙したというのは何という味のある話だろう。鼻糞ほどのボーナスを貰ってカフェーへ駈込んだり、高等官になったとて嚊殿に誇るような極楽蜻蛉、菜畠蝶々に比べては、罪が深い、無邪気で無いには違い無いが、氏郷の感慨の涙も流石に氏郷の涙だと云いたい。